養育費

養育費とは

 

未成年の子がいる夫婦が離婚をする場合、離婚後の親権を行使する者(親権者)を定める必要があります(民法819条1項及び2項)。両親の離婚後、一般的には未成年の子は親権者となった親と暮らし、監護養育を受け親権に服することになります。非親権者となった親は、手元で子を育てることは一般的にありませんが、親子の縁が切れるわけではなく、夫婦の離婚後も子の「父親」又は「母親」であり、扶養義務があります。
離婚後、自らの手元で子を養育費しない親が、自らの手元で子を養育する親に対して支払う子の生活に必要な費用の分担金を養育費といいます。
なお、子に対し親権を行使する者(親権者)と子を手元で養育する者(監護親)は一致することがほとんどですが、例外的に分ける場合もあります。ここでは、一般的な親権者=監護親として話をしています。

 

養育費の定め方について

養育費額は、法律で定められているものではないので、当事者の合意により自由に決めることが可能です。婚姻期間中の生活費を基に決めたり、現実に子にかかっている学費を基に決めたり、柔軟に決定することが可能です。日本では当事者の話し合いによる協議離婚が多いため、養育費も当事者の合意により決められる(あるいは決めずに離婚をしてしまう)ケースが多いようです。
しかし、最近では離婚をするかしないかで揉めたり、未成年の子の親権者をどちらと定めるかで話し合いがつかなかったりするケースが増え、弁護士が関与する事例が多くなっています。
養育費を決める時期は、離婚と同時に定める場合が大多数です。離婚協議による場合や離婚調停による場合は、あくまで当事者の合意で定められます。離婚訴訟により定まる場合は、裁判所が離婚判決と同時に親権者の指定と養育費額を決めます。
また、養育費を定めずに離婚してしまった場合、離婚後に交渉または調停で養育費の請求をすることが可能です。さらに、一度決めた養育費を後日変更することも可能です。

養育費の金額について

弁護士が関与した場合や家庭裁判所を通して養育費を決める場合、実務上は、家庭裁判所で用いられている標準算定表を使って金額を決めます。標準算定表は、収入に占める可処分所得を算出するにあたり、生活費、教育費、職業費などにつき統計資料を用いて、支払義務者と支払権利者の収入に従い、簡易迅速に養育費を算出する目的で作成されました。平成15年に発表され実務上広く用いられてきましたが、令和元年12月、統計資料を新しくした改訂標準算定表が公表されました。
今後は改訂標準算定表を基に養育費の取り決めが行われていくものと考えられます。
なお、当事者が合意した場合、標準算定表にあてはまらない特殊な事情がある場合など、必ずしも標準算定表と同額の養育費額とならない事例もあります。最近増えている問題は、夫婦間の子の生活費(養育費、教育費)です。標準算定表に含まれている教育費は公立学校を前提としたものですから、子が習い事や進学塾に通っていたり私立学校へ通学していたりした場合に、上乗せの要否や上乗せの金額が問題となります。

養育費の請求の仕方

離婚と同時に養育費を定める場合、請求の仕方としては、当事者間の話し合い、離婚調停、離婚訴訟の3つがあります。当事者間の話し合いは、当事者夫婦で行う場合もありますし、弁護士が関与することもあります。弁護士が関与する場合は上述した標準算定表を基に、その夫婦及び子の事情に合わせて柔軟な定め方ができるよう交渉をすることが多いです。
当事者間での話し合いにより養育費を含む離婚問題を解決することができない場合、家庭裁判所で話し合い(調停)をします。相手方の住所地又は当事者の合意した家庭裁判所に対して、離婚調停の申立てをします。調停では、調停委員2名が話し合いを手助けしてくれ、標準算定表の説明をしてくれます。
調停での話し合いがうまくいかない場合は、調停は不成立となりますので、今度は離婚訴訟へと進むことになります。離婚訴訟では、互いの主張及び資料を提出し、必要に応じて本人尋問や証人尋問を経たうえで、判決が出されます。離婚訴訟で養育額が決まるのは、離婚請求が認容された場合に限ります。 次に、既に離婚が成立している場合に、養育費を請求しようとする時又は既に決めた養育費額を変更(減額・増額)しようとする時は、当事者間の話し合い、調停、審判の方法があります。調停は、養育費分担調停(新たに決める場合)、養育費増額(減額)請求調停(養育費額を変更する場合)を申し立てることになります。既に決めた養育費額を変更する場合は、以前取り決めたときと事情が変わったことが必要です。例えば、自分又は相手が病気になり収入が減少した、再婚により養育すべき子が増えたなど以前定めた時に予測できなかった事情のことです。調停による合意が見込めない場合は、双方の主張や資料を踏まえて、審判官が養育費額を決定します。

弁護士に依頼するタイミング

どのタイミングで弁護士に依頼されても構いませんが、離婚をお考えの場合はその時が一番良いタイミングだと思います。早い段階で、別居、婚姻費用、離婚、親権、養育費などこれから生じ得る問題に対する見通しを一度弁護士に相談されることをお勧めします。
弁護士費用は、ご依頼の内容(養育費の示談交渉のみなのか、離婚交渉も依頼するのか、調停をするのかなど)によります。費用の設定も弁護士により様々ですのでご相談の弁護士にお気軽にお尋ねください。

 

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